レポート
  • 女性
  • 50代
  • 元県庁職員
  • 香川県
  • 英検2級、ロシア語教員免許、ドイツ語4級

エジプトクーデター

公開日 : 2022年01月11日
最終更新 :

2013年6月30日、私は、エジプトのルクソールに滞在していた。1泊400円足らずの安宿だった。
その晩、いつもは聞かないデモの声を聞いた。ルクソールで、デモなんて、珍しい。翌朝、新聞売り場をのぞきに行くと、新聞の一面に装甲車の写真が載っていた。カイロでは、民主化前も、民主化後も、連日デモをしていたが、軍用車を見かけたことはなかった。変だな、と思ったが、アラビア語が読めない。ルクソールでは、英語の新聞を売っていなかった。ルクソールの町中は、いつもと変わらなかった。その後、新聞一面記事の写真には、軍人ばかりが載るようになった。
7月10日からは、ラマダンだった。私は、あちこちの食堂をのぞき込んでは、戒律を破って、日中、水たばこを飲んでいるエジプト人を発見していた。
7月末、私は列車でカイロに帰った。今度は、1泊1,200円程の安宿だった。カイロの町中を歩いて、私は、びっくりした。町のあちこちに装甲車があり、装甲車の上に軍人が立って、銃を構えていた。軍人は、微動だにせず、立っていた。「絶対、何かが起きている!」と私は思い、ザマレクの新聞売り場で、英字新聞を買った。バスでアレキサンドリアへ行き、安ホテルに投宿して、辞書を引きながら、英字新聞を読んだ。不思議なことに、何度読んでも意味がわからなかった。誰がああ言った、こう言った、の羅列だった。そのうち、やっと、私は、クーデターが起きたことに気づいた。慌ててカイロに帰り、隣国ヨルダンへの航空券を買い、ヨルダンへ飛んだ。

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