レポート

HSBC香港のデビットカード発行

公開日 : 2021年01月19日
最終更新 :

海外旅行の為替は永遠の話題ではあるが、今現在、外国で買い物をしたり、現金を引き出したりするので一番為替レートがよくなるのは、恐らくマルチマネー口座(多通貨の口座)を作れる銀行で口座を作り、その口座に結び付いたデビットカードで買い物をして、またはその国のATMで現金を引き出す、のはずである。例えば口座内で香港ドルにの交換し(レートは海外キャッシングにレートに若干の手数料がかかる程度でかなりいい、はずである)香港では、デビットカードで香港ドル建てで買い物すれば手数料はかからないし、SMBC信託であれば、香港のATMで香港ドルを引き出しても、ATM手数料もかからない。

例えばSMBC信託は17通貨対応する。
https://www.smbctb.co.jp/product/globalpass/overseas/shopping/
ソニー銀行は11通貨対応
https://moneykit.net/visitor/sbw/

ところでこの「マルチマネー口座」は今では日本でも普通になってきたが、20世紀にはHSBCを始めとする(米銀を除く)外国銀行にしか存在しなかった。特に有名だったHSBCのマルチマネー口座の通帳は、一冊の通帳にHKDだのUSDだのJPYだのがつらつらと記帳されていて、今思えばかなりマニアックな通帳であった。が、この口座、ATMによる引き出し、はなぜか対応しておらず、外国のATMでも使えるがそれは香港ドルの口座から外貨に交換して引き出すようになっていた。ちょうど、今の三井住友銀行は全世界で使えるVISAデビットカードを発行しているが、デビットカードの買い物やATMからの引き出しは全て円口座を通して行う、のと同じである。

さらにHSBCのATMカードは現在は国際ネットワークとしてなぜか「銀聯」を使用する、というしょぼいカードしか発行していない。私も日本のセブン銀行で引き出したことがあるが、それは最近のインバウンドブームでたまたまセブン銀行が銀聯に対応していたからで、普通は(?)VISA=PlusまたはMastercard=Cirrusのネットワークを使うのが「常識」ではなかろうか。(上記のSMBC信託、ソニー銀行はVISA=Plusを利用)きょうび、JCBよりは銀聯の方が世界的にも通用するが、それにしてもしょうもないATMカードを発行するものだ、と思っていた。

が、そのHSBCが何を思ったか、今年に入って「マルチマネーデビットカード」の発行を開始した。
https://www.hsbc.com.hk/debit-cards/products/mastercard-debit-card/
12通貨対応、マスターカード=Cirrus対応で、もちろんコンタクトレス機能も付いている。さらに全世界のHSBCのATMであれば(その国の通貨が口座にあれば)無料で引き出せる、と言うのも、今までは「HSBCプレミア」以上の特典だったので、「HSBC ONE」のステイタスから使える、と言うのは、画期的(?)と思う。

ちなみにHSBCは世の中の流れに反して(?)昨年までに口座維持手数料を廃止している。上記の「HSBC ONE」も前は「HSBCアドバンス」という最低HKD200,000なければ口座維持手数料が発生する口座だったのだけど、維持手数料は元より、その他の多くの手数料を廃止し、非常に使いやすくなった。今は日本人に積極的には海外口座開設は勧めないけれども、どうしても(?)というならば、候補の一つに挙げてもいいような口座である。

これらは表向きは昨年全面的に香港で解禁されたネット専業銀行に対抗するため、と言われている。が、
https://www.hsbc.com.hk/accounts/products/one/
この「one」の宣伝を見ても(香港人にとっての)外国旅行、外国でのショッピングがより便利になりますよ、ということに重点を置いているように見える。(あなたがた香港人が)外国に行ってもこのデビットカードがあれば自分の財産にはすぐにアクセスできるし、簡単に作れるように口座に係る手数料も極力減らしました。なので、安心して外国に行ってもいいですよ。・・・大英帝国の盛衰や中国の共産化を全て見てきた銀行である。今の香港情勢を見ていると、ひょっとして、と思わないでもない。

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