レポート

サラリーマンのためのタンザン鉄道乗車記 その5 退屈な車内

公開日 : 2017年05月23日
最終更新 :

で、この列車、定刻の13:50にきちんと発車した。何で遅れるのかを確認したいと思っていて、いくつかの駅でチェックポイントを設けて、時刻を計っていくことにした。15分も走ると郊外に出て、いわゆる教科書で習った通りの「サバンナ」が広がる。「ダーウィンが来た」なんかに出てくるテレビでよく見る光景で、あとはライオンやキリンが歩いていてもおかしくない。・・・タンザニア人にもザンビア人にもたしなめられたのだが、このタンザン鉄道沿いでそんな動物がでてくるところはない(一部国立公園の中を走る部分があるが、夜中だったので何も見えなかった。)とのこと。終点までに見た動物は牛と犬だけだった。もっとも「トキはねえ、昔は日本中どこでも見られたものなんだよ。」というのと同じ話なのかも知れないが。

 14時半頃、ランチのオーダー取りがやってきた。一等車はこの食事の「ルームサービス」が一つのサービスになっている。昼食、夕食が4500TSH、25ZMW、朝食が3500TSH、20ZMW。昼食と夕食は同じでビーフかフィッシュのシチュー風煮込みにライスまたはウガリ、豆料理に野菜がワンプレートに載っている。朝食はトーストに目玉焼きにウインナー一本、練乳のたっぷり入った熱いミルクティーが付く。何と、私はこれを最初から最後まで食べ続けた。隣が食堂車なので食べに行けばいいものを・・・。

 ちなみに通貨はタンザニア領はTSH、ザンビア領はZMWが厳密に守られる。食事のオーダーはアディダスを着たイケメン兄ちゃんが終点まで担当したのだけど、ザンビア領内に入るとZMWしか受け取らない。「お兄さん、さっきまでタンザニア・シリングの束を持ってたじゃん・・・・」と言っても、首を横に振るだけである。もちろん、ジモティ物売りは各国通貨で対応。ビザ代金だけは米ドルになる。

停車駅での物売りはたくさん来るのだが、メインのお客は三等車なので一等車両の近くまではなかなかやってこない。物売り目当ての人は注意が必要である。それでもパンケーキ(なぜかもちもちしていて異常においしい。)、メイズと言われるトウモロコシをゆでたもの、バナナ、サモサ、ピーナッツ、マンゴー(こう書きだすと我ながらよく食べている。・・・)等を食べた。トウモロコシは日本の「スィートコーン」と異なり、歯ごたえがあっておいしい。

特においしかったのがバナナで、タンザニアには食事用のバナナもあるそうだが、売っているのは普通の果物バナナで2~3キロくらいある房が1000TSHくらいで涙がでるほど安い。そしてこれがまたおいしい。こんなものを食べていると、渋谷のブックファーストの地下にあるドールのバナナの自販機をタンザニア人が見たらどう思うだろう?バナナはスワヒリ語で「ンディジ」というのだが、「ンディジ、ディジ、ディジ・・・・・」という呼び声がバナナのたたき売りに似ていて、おもしろい。さらに私と目が合うと「・・ディジ、ディジ・・バナーナ!」とちょこっと英語になるところがかわいい。

19:00到着予定のKisakiでチェックすると、すでに一時間遅れている。中国でも中国製の機関車の性能にそんなに疑問を持ったことはないが、線路が悪いせいかいまいちのスピード・・・でも、どうして一時間も遅れたかよく分からず。ここで夜も真っ暗で寝ることにする。ちなみにバッテリーを持込みスマホのGPS機能でグーグルマップをずっと追っかけていたが、携帯の電波が入るのはそこそこ大きな街に着いた時だけで、JRなどとは異なり(?)その他はほとんど電波は入らない。Simを入れ替えていても、基本的にはずっとオフラインの世界である。

 寝るときは我々(同室の三人)はそもそも外の事を全く信用していないせいか、逆にコンパートメントをあけっばなしで寝ようとしていたら、車掌からコンパートメントのドアを閉めて、中から鍵を掛けるように言われた。さらに荷物は窓側に置くことも言われたが、通路側だと置き引きに遭う確率が高い、とのことなのだけど、それは小学生のレベル(?)の話で、そんなことより荷物を体にどう結ぶかに気を使った。窓はガラス。格子戸、日よけ戸の三重になっていて、これも開けっ放しはだめ、とのこと。暑い場合は格子戸にせよ、とのことで、アフリカのサバンナは夜間に何が入ってくるか分からない、ということより、人間の侵入防止のためらしい。

 標高が高いせいかやや寒いくらいで、4時頃目が覚めた。7:53到着予定のMakmbakoでチェックすると3時間遅れ。一体どこで遅れたのよ?何もすることがなく、景色を眺めるだけなのだけど、さすがにひたすらサバンナでは飽きてくる。・・・

 

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  • サラリーマンのためのタンザン鉄道乗車記 その6 タンザニア出国

     17時過ぎにMbeya到着。タンザン鉄道沿線では最大の都市でさらにマラウィ方面に行く人はここで乗り換える。三等客もほとんどがここで降りてしまい、国境を越えてザンビアに行く人たちは少ないようである。なお、物売りはこの駅からは来ない(客の三等客の大半が降りるため)のでMbeyaに着く前に買っておいた方がよい。(ザンビア側に入ると「復活する」)同室の西洋人の若者はMbeyaに着く前にガイドブック(ロンプラ)を見せてくれ、と言ってきた。マラウィに行くのかと聞いたら、ボルケーノに行く、という。帰って調べて分かったのだけど、この付近はちょうど大地溝帯の真っただ中で、アイスランドみたいな光景があるのだろうか。改めて来てみたい。ちなみに彼はスマホで何ページか写して、それを持って降りて行った・・・・

     そのカップルとは別に、ちょうど私の車両の前に西洋人の女の子が大きな荷物の番をして待っている。すると彼が向うからバイクを押して持ってきた。あのバイクじゃん・・・というのはタザラ駅で木の枠をはめたスズキの125CCのバイクを列車に積み込むのを見ていて、てっきり私はザンビア人が里帰りで持って帰るのか、中古品の輸出かと思っていた。こんなことができるのね。・・・彼はペットボトルのガソリンをつぎ足し、彼女を後ろに乗せてさっそうと走り去った。とはいえ、あのバイクでは後ろの子もかなりきついだろうなあと思っていたら、同室の韓国人が「若いねえ。(日本語)」とつぶやき、大笑いになった。

    さらにこの駅で反対方向の列車と交換するというので、機関車を後ろに付けて一旦後ろに戻り、となりのプラットフォームに入り直す、という「作業」があった。最近のJRでもこんな作業は見ないが、なかなか良くやっている。(と言うか、よくやらないと正面衝突するが・・・)結局、4時間遅れで出発、国境のTundumaには23時前に到着。イミグレ業務が閉まっている、というのはやめてね。と思っていたら、タンザニアのイミグレ職員がやってきて出国スタンプを押してくれた。

    いよいよ出発、5分くらい走ると、ザンビア側の国境駅Nakondeに到着。こちらは眠くてうつらうつらしていたら、威勢のいい若いアフロヘア(というのはアフリカでは何と言うのだろう)のお姉さん二人組が入ってきた。ザンビアのイミグレ職員である。時差があるので時刻は23時過ぎ。この時間ならイミグレはまだやっている。・・・一人がパスポートをチェックして、もう一人がビザを作って発行する。米ドルで50ドル。マルチビザや南部アフリカビザの話を聞いても良かったが向うも忙しそうで、話せなかった。同室の韓国人がパスポートを渡すと「コリア・・・サウス・・・・。ノース?」と聞いてまた大笑いである。かわいそうに全世界で韓国人はこの手のギャグをかまされているのだろうなあ。建前は分かるが、昔の東西ドイツと同様、日本と中国以外ではみな「サウスとノース」で区別しているのだから、韓国政府もパスポートの隅っこに(サウス)って入れとけば、イミグレ職員も困らなくてよいと思うのだけど・・・。

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