レポート

万寿台の献花台の花の行方

公開日 : 2017年01月28日
最終更新 :

現在は渡航自粛指示がでているので、平壌の観光スポットについて書いてもあまり役にたたないのだけど、現在公開中の映画「太陽の下で」に衝撃的シーン(?)があったので、レポートを・・・・。

私の同級生の母親で(日本占領下の)平壌生まれという人がいて、そのお母さんは里帰りができないため、平壌が映るニュース等があれば、食い入るように見ていた・・・という話を聞いたことがあるのだけど、私も20世紀に行った平壌を再訪するのは難しく、やはりメディアに頼るのみ、である。最近はニュースも多いが、平壌はなかなか映らない。

平壌を訪れる時に、万寿台の「偉大な指導者」の銅像とその横にある記念碑を観に行くか、というのは一つの観光ポイントになる。この場合、銅像を見る時は(私が行ったときは金日成が死んだ直後で「偉大な指導者」の銅像はひとつしかなかったはずなのだけど、今回の映画を観ていたら、二つになっていた。)必ず献花が必要(これは平壌市民、北朝鮮のお上りさん、外国人の皆が同じルールになっているようである。)とのことで、私が行ったときは前泊地の北京で添乗員からその話が出た。しかも、平壌は花不足(金日成が死んだ直後で、献花する市民が花を買い求めて殺到したため、という説明だった。)なので北京で買って高麗航空(ちなみにこの会社は今年になって経済制裁対象になった。乗らないように。)に持ち込むという。

ツアーには、その国のルールには従うというという大人の人が多かったので(?)その場でみんなで少しずつお金を出し合うことになり、北京で買った鉢植えの土付きの花は、順安空港の検疫もなぜか通ったらしく(私はこの件とプラス色々で北朝鮮の検疫、イミグレは全く信用していない。)、高麗ホテルで実物をみせてもらった。

上述の映画を観る場合は、ラストシーンに出てくるのだけど、平壌に行ったことのある人であれば「お参りの仕方」は分かると思う。添乗員が花を持って、その後ろをついていき、「偉大な指導者」の銅像に一礼して、下がっていく・・・初詣みたいなものである。膨大な量の花束が置かれていて、北京から持ってきたとはいえ、特に目立たず、埋没していた。この花束は一体どうするんだろう・・・・西側から来た人間はそういう発想しかできないのは、ご存知のとおりである。

が、このロシアのドキュメンタリー映画の監督は「そのこと」を撮影していたのである。最後のクレジットが出てきている本当にラストシーンだったのだけど、花束を一つずつ金属探知機で確認していき、そのあとに係員がゴミ台車に花束を無造作に投げ込んでいく場面を・・・・。

花束を投げ込んでいくのはともかく、一つずつ金属探知機(空港で使われるあれ、である。)でチェックしていくのにはかなり衝撃だった。そんなに信用できないのね。・・・・と。この映画、古き良き(?)北朝鮮を知ってる人にも、経済制裁解除後に行こうとしている人にも必見である。主人公のジンミちゃんも可愛い・・・・。









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2件のコメント

  • 僕は名古屋から平壌へ直行して、花代を払いませんでしたが、献花はしましたよ。

    僕は1997年のゴールデンウィークの、北朝鮮ツアーに参加したことがあります。
    特別な訪朝団がチャーターしたようで、ツアーはそこに混じってました。

    名古屋から平壌への直行便だったので、便利でした。
    もちろん献花したのですが、その花の費用は、僕は出しませんでしたね。

    誰かが払ったのでしょう。
    でも、何も言われないのに、すっと並んで、きれいに頭を下げられる日本人集団は、
    さすがだと思いました。

    ただの思い出話なので、中身はありません。

    みどりのくつした

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    Re:僕は名古屋から平壌へ直行して、花代を払いませんでしたが、献花はしましたよ。

    みどりのくつしたさん、こんにちは。

    みどりのくつしたさんは「パックツアー」については、あまり詳しくないと思っていますが、こういう場合、多くは「訪問する観光地、博物館等の入場料は全てツアー代金に含まれています。」となっていて、ツアー代金に含まれているのではと思われます。

    というのも、北京でその話が出たときに「花代とかはツアー代金に含まれるのではないか?」と質問した人がいて、それに対する添乗員さんの回答が「偉大な指導者の銅像に頭を下げるというのは、みなさん個々人の思想信条の問題もあるので、別料金にした上で。そもそも行く人と行かない人の希望を取ってから、花代を割り勘にすることにしている。」という、まあ良心的(?)なものでした。が、このツアー会社、倒産してしまいましたけどね。

    映画は2015年制作だったのですが、あのルールは今も健在なんだ、と懐かしく思ったのと、今では同じ花束で昔と違って二つの指導者の銅像を拝むことができるようになっているので、二倍お得(?)です。何年かして、この銅像が三つになって当時より三倍お得(?)になっているか、「跡地」になっているかは興味のあるところですが・・・。

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  • 17/01/28 22:39

    う~ん

    この映画を観に行こうと思っていたこともあり、興味深く拝読しておりましたが、
    ラストのネタバレが含まれていましたか~(~_~;

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    Re:う~ん

    hevvoさん、こんにちは。

    以下、旅行の話というより、映画の話(?)になりますが・・・・

    まず、この映画のラストシーンはキャッチコピーの「少女が流した涙の理由は・・・」のとおり、ジンミが涙するしーんがあるのですが、そこに衝撃的事実が・・・という訳なので、そこのネタバレは書いてないので、安心して観に行って(?)ください。私の書いているのはラストシーンというよりエンディングの部分です。

    が、私自身は「その場面」(パンフレットにも監督が一番言いたかったのはこの場面、みたいなインタビューが載っています。)はあたりまえじゃん、と思ったくらいでそれほど衝撃的ではなく、むしろトピで書いたシーンの方が衝撃的だったのですけど、この「びっくりさ」をどのくらいの人が見逃さずに分かってくれるか、・・・というところです。

    この映画に出てくる人は、そもそも実は全部俳優ではないか、と私は思っているのですけど、一応、お父さんはジャーナリストなのに縫製工場の責任者、お母さんは食堂の従業員なのに豆乳工場の従業員、を演じているとなっています。何が本当かよく分からないところが、このドキュメンタリーの魅力です。

    また、北朝鮮のきちんとした人たちは国内向けの宣伝、スローガンが外国人にいかにばかばかしく見えるかをよく知っているのですが、ここに出てくる「北朝鮮側の演出監督」はいかにも時代遅れで、こいつこそ処刑ものだ(おっと冗談にならないか・・・)と思いました。かの国ではかの指導者を口にするときは「偉大な」という言葉を必ず付ける必要がある(この映画でも守られている)のですが、20世紀に行った私たちのツアーでさえ、その前に実施されたツアーで「ガイドが説明するたびにいちいち「偉大な」を付けるのは(今風で言うと)うざったい。」と抗議が出たため、我々のツアーの時は「偉大な」と言う言葉は全くつけずに指導者のことを説明をしていました。そういう意味ではちょっとねえ。・・・

    むしろ気になったのは、最初の20分間くらい徹底した反日教育場面があるのですが、私の超貧弱な朝鮮語のヒアリングでも日本人のことをイルボンサラムとかではなく、ウェノム(倭奴)という蔑称で教科書に書いているみたいで、(字幕は日本人としか出ずこのニュアンスが出ていない。)韓国の教科書はどう表現しているか分かりませんが、これは正式に外交ルートかなんかで文句をつけるべき(?)と思いました。

    と言う具合で、面白い映画です。ぜひ行ってください。

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