レポート

ラムサールは豊かな湿地です

公開日 : 2015年04月16日
最終更新 :

 日本の環境省が、ラムサール条約に基づく重要な湿地として、芳が平(群馬県)、涸沼(茨城県)、東よか干潟(佐賀県)、肥前鹿島干潟(佐賀県)の4か所の登録を申請するという記事を読みました。
 そもそもラムサールとはなんぞや、と思われる方もいらっしゃると思います。
 ラムサールは、イラン北部カスピ海に面し、昔から避暑地として栄えてきた小さなうつくしい町です。前は海、後ろは山、その間にいくつもの川が流れ湿地を形成しています。この町で1971年ラムサール条約は誕生しました。
 この条約が誕生する10年以上も前、世界の湿原や湿地が自然や人為的な脅威によって破壊されつつあり、それに伴って魚類や鳥類の生存に悪影響を及ぼすということで、国際的に協力していこう、と言うことが始まりだったそうです。国際水禽調査局のマシューズ氏、カープ氏、WWFのL. ホフマン博士、ならびにイラン狩猟鳥獣魚類局のフ ィルーズ氏は、ラムサール条約創設に尽力し「創設の父」と呼ばれています。
 この条約は、湿地の保全と人間の“賢明な利用”との共存を唱え、水資源を供給し続けてきた湿地の重要性を説き、世界の水に関する課題を手助けするという大きな役割をしてきています。
 イランには、この条約によって登録された湿原・湿地が80箇所ほどあります。毎年、鶴やフラミンゴ、ペリカン、カモなどの渡り鳥がたくさんやってきます。しかし残念なことに近年、イランでは水不足のため内陸部にある湿地が乾燥し始めています。農業用に個人で無計画に井戸を掘っていることもそれに拍車をかけている、ということで自治体が規制に乗り出しています。
 ラムサールや周辺の湿地には、夏になると茎が2メートル以上もあるピンクの大きな蓮の花が一面に咲きます。鳥の声を聞きながら船頭さんが漕ぐ小さな船で周遊することができます。捕れたての魚料理を食べさせてくれる、素朴な水上レストランもあります。
 イランのもう一つの顔をぜひ、見にきてください。
 



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